「アキレウスの鎧」とは「ギリシア神話」に登場するギリシャ最大の英雄「アキレウス」が身につけていた鎧のことで、
海の女神「テティス」が鍛冶の神「ヘーパイストス」に頼み込んで作ってもらったものでもあります。
アキレウスはもともとこの「アキレウスの鎧」ではない甲冑を身に着けていました。
しかし、ある時アキレウスは自らの身につけていた甲冑をアキレウスの親友である「パトロクロス」という人物に貸し与え、
そのままパトロクロスは戦闘に出撃します。
しかしこの戦闘の最中にパトロクロスは敵軍であるトロイア軍の大将「ヘクトール」に槍で貫かれて死亡してしまいます。
その際にヘクトールはパトロクロスの身につけていたアキレウスの武具を奪い取っていきます。
なお、パトロクロスが死んでしまった遠因はギリシア軍の総大将である「アガメムノン」とアキレウスが諍いを起こし、
それによってアキレウスは戦闘に参加するのを拒否するようになるのです。これが結果的にパトロクロスの出撃に繋がり、
ヘクトールによって殺されると言う結末を招いたのです。
アキレウスはパトロクロスの死を自身が招いたのも同然であるというのもあり、
深く悲しみ、ヘクトールへのパトロクロスの仇討ちを決意します。
しかし、アキレウスの武具はすべてヘクトールに奪われてしまっており、このままでは戦うことすらままなりません。
そこでアキレウスは自身の母親である海の女神テティスを呼び出し、
鍛冶の神ヘーパイストスに自身の防具を作ってもらえるように頼んでもらえないかと相談します。
それを聞いたテティスはアキレウスの身を案じてヘーパイストスにアキレウスの防具を作ってもらえるように頼み込みます。
ヘーパイストスはテティスの頼みを聞き入れ、アキレウス用の防具を鍛え上げます。
それによって作られたのが「アキレウスの鎧」なのです。
このアキレウスの鎧は非常に軽量で頑丈な鎧でした。なおかつアキレウスはもともと俊足を持ち、
この軽量なアキレウスの鎧とは相性抜群で、この鎧を着たアキレウスはヘクトールとの一騎打ちを行います。
アキレウスの勢いに恐れをなしたヘクトールはアキレウスから逃げ出そうとしますが、
アキレウスはそれを追い回してヘクトールを槍で突き殺し、その死体を引き回すのでした。
このようにアキレウスの鎧は子を案じる母の思いや、
アキレウス自身の友の復讐を果たしたいと言う思いから作られた彼専用の高性能な鎧というわけです。
アキレウスの鎧は前述したとおりギリシャ神話における
ギリシャ軍側の最大の英雄アキレウスが身につけていた軽量かつ頑丈な鎧です。
しかしながらこのように強力なアキレウスの鎧を着けていてなお、アキレウスは戦死してしまいます。
アキレウスが戦死した後もアキレウスの鎧はギリシャ神話に登場することとなります。
ですので、この項ではアキレウスの死と、その後のアキレウスの鎧の行方についてご紹介いたします。
アキレウスはまず、母であるテティスにトロイア戦争に参加すると命を落とすと言う予言をされています。
そのためテティスはアキレウスに女の格好をさせてトロイア戦争に関係のない「スキューロス島」に送り出します。
そこでアキレウスはスキューロス島の王の娘「デーイダメイア」との間に子を儲けました。
そうこうするうちにスキューロス島にギリシャ軍の英雄「オデュッセウス」が現れ、
アキレウスの正体を見抜き、トロイア戦争に参加させるべくアキレウスを連れて行ってしまいます。
その後アキレウスは親友のパトロクロスらと共にトロイア戦争に参加していました。
トロイア戦争に参加する中、ギリシャ軍側の総大将アガメムノンと仲違いを起こし、
アキレウスは戦争から退陣してしまいます。
そこで親友のパトロクロスはアキレウスの身につけていた鎧を身に着けてアキレウスに扮してトロイア戦争に参加を続けます。
アキレウスの姿をしたパトロクロスを見たギリシャ軍は士気を上げ、敵側のトロイア軍を押し返しますが、
パトロクロスの正体を見破ったヘクトールはパトロクロスを討ち取りパトロクロスの身に着けていた
アキレウスの鎧を奪い取っていきます。
その後は前述したとおりアキレウスは新たな鎧を纏ってヘクトールを討ち取ります。
アキレウスの鎧を身にまとったアキレウスは凄まじい力を持って「イーリアス」のトロイア軍を打ち破っていきます。
その中にはアマゾーンの女王にして女神の如き美しさを誇る「ペンテレイシア」や
エチオピアの軍勢を伴ってイーリオスに加勢した「メムノーン」も含まれていました。
彼らもまたギリシャの名だたる英雄を打ち倒すほどの猛者でしたが、アキレウスはそれらを意にも介さず打倒していきます。
しかし、とうとうそんなアキレウスにも終わりのときがやってきます。
メムノーンを打倒したアキレウスはその次の日もまた戦いの場に出ていました。
イーリオスの「スカイアイ門」と言う場所でアキレウスは猛威を奮っていました。
その時、イーリオスの王子である「パリス」がアキレウスの急所である「アキレス腱」を弓矢で打ち抜きます。
急所を撃ち抜かれたアキレウスは崩れ落ちますが、再び立ち上がってイーリアスの軍勢を追い立てます。
しかし、とうとうテティスの告げた予言の通りにアキレウスはトロイア戦争のさなかに死んでしまいます。
イーリアスの軍勢は討ち取った証として、またはその武具に魅せられてなのかアキレウスの遺体を奪い取ろうとしますが、
それはギリシャ側の英雄であるオデュッセウスと「アイアース」によって阻まれます。
アキレウスの遺体はこの二人の英雄によって守られますが、
今度はこのオデュッセウスとアイアースがアキレウスの鎧を求めて壮絶な戦いを起こしてしまいます。
戦争中にも関わらず起こってしまった味方同士の戦いはオデュッセウスの勝利によって幕を閉じます。
その後アイアースはこの鎧を得られなかったこともそうなのですが、
どうにもアイアース自身オデュッセウスと争っていたときは正気を失っていたらしく、
それの後悔も含めて自刃してしまいます。
アキレウスの鎧はしばらくの間オデュッセウスのもとにありましたが、
アキレウスとデーイダメイアの間に生まれた息子である「ネオプトレモス」にアキレウスの鎧を授けます。
このようにしてアキレウスの鎧はその息子へと受け継がれたのでした。
風属性
アキレウスの鎧はそれ単体ではただ単純に軽く硬い鎧である以上のものではないためなのか
アニメやゲームでの登場は見受けられません。
しかし、持ち主であるアキレウスに関しては大人気スマートフォン向けRPG「Fate/GrandOrder」にて
最高レアリティのユニットとして登場しています。
他にもスマートフォン向けゲーム「モンスターストライク」でもアキレウスの姿を見ることができます。
登場ゲーム作品
Fate/GrandOrder
モンスターストライク