古代エジプト神話に登場する神々や、その時のエジプト王朝の王が手にしていた杖のようなもので、
その者の権力や力、支配を象徴するものだったそうです。
古代エジプトに伝わるヒエログリフ(象形文字のようなもの)の記号の一つとしても用いられ、
「力」という意味が込められ使われていました。
形式化された動物(セト神など)の頭に二股に分かれた石突が特徴の杖です。
また古くからの言い伝えで、蛇除けのお守りとも言われていました。
(これは、石尽きが二股に分かれているところからそう推察されている。)
古代エジプトでは人家に侵入し家畜などを毒殺する蛇は害獣として扱われていました。
それを駆除するために二股に分かれていたと推察されます。それゆえ、護符のような捉えられ方もあるようです。
生命の象徴と言われている「アンク」と一緒に描かれていることが多く、この2つのアイテムは、よくセットで描かれます。
また、古代エジプト神話の一つメンフィス神学における創造神・プタハはこのウアスとアンク、
そしてジェド柱と言われる3つを組み合わせた特別製の杖を所持しています。
太陽神・ラーのサポート役とされていたセト神が自身の混沌の力を制御するために使っていたとされる杖です。
主に男の姿で描かれる神様が持っていることが多く、女神にあたる神様は蓮の花がついており、
石尽きも分かれていない別物の杖(ロータスの杖)を持っていることが多いようですね。
これは、その時々で首都が変わる古代エジプトにおいて、
その時の首都や王が信奉していた主神に男の神が多かったことが関係していると考えられます。
権力、支配、力の象徴とされたウアス杖の特徴によるものですね。
また冥界の神とされているオシリス神やアヌビス神などとつながりが深いとされているからなのか、
埋葬の際、一緒に奉納またはウアスの絵を描くなどする風習があったそうです。
これは、一緒に供えると死後、幸福になると伝えられていたからだと考えられています。
実際に実物だと思われるものが発掘されており、その時の王の所持品であり、
埋葬の際に一緒に奉納するという説は証明されているようです。
古代エジプト神話に登場する神々は、ほぼ漏れなくこのウアス杖、そしてアンクを所持しています。
ゆえに神の伝統的な必需品であったと考えられます。
時代は紀元前3000年頃、古代エジプト文明は誕生したとされています。
そのころエジプトは不毛の砂漠地帯であり、とても人が住めるような地域ではありませんでした。
ですがエジプトに流れているナイル川を中心に人々が集まりだし、生活を営むようになり、文明が発達していきました。
エジプト最大級を誇るナイル川は6650㎞の長さを有しており、数々の都市が誕生し、
そして数々の信仰が誕生していったのです。
太陽神・ラーを主軸とし、様々な神話体系が各々の地域でエジプト神話として発足していきました。
一体、いつ頃から誕生したのかはわかっていませんが、信仰する神々、王権の守護神たちは、
このウアス杖を所持しており、これを力、もしくは支配の象徴として扱われていました。
統治していた王もまたウアス杖を所持し、その権力と支配の力を誇示していたと考えられています。
主にエジプト神話に度々登場するセト神の持ち物として深く結びつけられており、
ウアス杖についている頭もセト神をかたどったものが多いです。
破壊の神、あるいは軍神とされるセト神。偉大なる強さという添え名を持つことでも有名です。
太陽神・ラーの補佐役としても知られ、冥界を旅していた、ラーの乗る太陽の船の航行を任されており、
守護神として捉えられています。
この際、船転覆を狙うラーの宿敵である悪魔神・アポピスを自身の混沌の力で撃退しており、
その時にその混沌の力を制御するのに使ったのがウアス杖だとされています。
ちなみにこの悪魔神・アポピスは大蛇の姿をしており、古代エジプト人に身近で畏怖される蛇がモデルでした。
これが転じて、ウアス杖は蛇除けの側面も併せ持つようになったと考えられます。
神話によっては、セト神は悪神としても描かれていることもしばしば、兄であるオシリスを妬み殺害していたりとなかなか、
あくどく、執念深い神様としても有名なようです。
これは、その地域によって神話の捉え方、伝わり方が違っていた古代エジプトの神話体系によるものだと考えられています。
また古代エジプトにおいて首都が何度も変わっていました。その際にその首都で信仰されていた宗教が影響力を持ち、
それが主流になる現象があったことが原因のようです。
何にしろ、その時の権力者、守護神が所持していたのは変わらず、古代エジプトにおいて、
その力の強大さを示すのに重要な伝統品であったことは間違いないようです。
闇属性
荒木飛呂彦原作の大人気漫画ジョジョの奇妙な冒険の第3部にて登場する
ハヤブサの姿をした敵・ペットショップのスタンド「ホルス神」のモデルがウアス杖だと言われています。
6本の腕を持つ翼竜の姿をしたスタンドでセト神を模したウアス杖によく似ています。
その能力は氷と冷気を操る能力で
・一瞬で巨大な氷塊を作り出し攻撃
・数発で車を破壊するほどの威力の氷のミサイルを連続で打つ。
・地面に氷を這わせ、相手の動きを封じる。
・傷を凍らせ止血するなどなど・・
非常に強力で多彩な能力になっています。
アトラス社より発売されている大人気RPGゲーム
「ペルソナ5 スクランブル」に隠しペルソナとしてセト神が登場している。
「黒神降り立つ」というクエストをクリアすると「獣頭のウアス」というアイテムを入手できる
このアイテムを使用すると隠しペルソナであるセトが使用可能となる。
ちなみにこのクエストの目的は「兄殺しの破壊神」討伐であり、兄オシリスを殺したセトを踏まえた設定になっています。
その他
スマホ用ゲームアプリ・D2真・女神転生リベレーションにてスキル「ウアス」が登場する。