「アリマタヤのヨセフの盾」は前述したとおり「アーサー王伝説」に登場する騎士「ガラハッド」に与えられた盾であり、
「アリマタヤのヨセフ」と言うキリストの埋葬を行った聖人の血によって祝福された聖遺物でもあります。
盾としては当時は貴重な鋼鉄製であり、カイトシールドと言われるタイプの形状をした盾です。
見た目の特徴としては次のような一文があります。「雪のように白く輝き、中央には赤い十字が浮き出ている盾」と
表現されており、見た目も美しい盾であることが読み取れます。
アリマタヤのヨセフの盾には盾自体が認めた人物以外が所有しようとすると
その対象に大怪我を負わせる呪いがかかっているなど、徹底してガラハッドの手に渡るように仕掛けがされた盾でもあります。
これに関してもアリマタヤのヨセフの盾が収められている「白い僧院」と言う場所にてこのように言及されています。
「ふさわしい者が持たないと災難にあう」という一文が示すとおり、
この僧院から盾を持ち出そうとした人物が大怪我を負うエピソードもあります。
なお、この呪いは厳密には「アリマタヤのヨセフ」の子孫に代々伝わるようになっており、
ガラハッドの母親である「エレイン」と父親の「ランスロット」はともにヨセフの子孫でもあります。
そのため、ガラハッドもアリマタヤのヨセフの子孫ということになり、
アリマタヤのヨセフの盾はガラハッドを正当な後継者として認めることになったわけです。
また、このアリマタヤのヨセフの盾に認められた者には「盾に認められたものは聖杯を得る」と言い伝えられてもいて、
ガラハッドの他の人物にもアリマタヤのヨセフの盾を欲しがるものがいて、その人物は前述したとおり実際に呪いにあい、
謎の騎士が現れてその人物を半殺しにしたあとで「この盾はガラハッドのものである、
ガラハッドに渡せ」というようなことを伝えていきます。
その後は物語の通りにアリマタヤのヨセフの盾はガラハッドの手に渡るとガラハッドは呪われることがなく、
間違いなく盾の継承者であることを示すわけです。
アリマタヤのヨセフの盾はガラハッドがガラハッドであり、
かつキリストの血縁者であることを示すための重要な物品でもあります。
更にはアリマタヤのヨセフの盾に認められた人物は聖杯を手にするとも予言されており
「アーサー王伝説」の物語内でも有名な部分である聖杯探索においても重要なキーアイテムになっています。
ですので、今回はアリマタヤのヨセフの盾が最も目立っているアリマタヤのヨセフの盾入手と
ガラハッドが聖杯を手に入れる場面をご紹介していきます。
その前にガラハッドが一体どういう人物なのかを見ていきましょう。
ガラハッドは「アーサー王伝説」及び「聖杯伝説」に登場する騎士の一人です。
父親は円卓の騎士の一人であり「湖の騎士」の異名を持つ「ランスロット卿」です。
母親は漁夫王(いさなとりのおう)にしてカーボネック城の主たる「ペラム王」の娘である
「カーボネックのエレイン」という人物です。
このカーボネックのエレインは魔女「モルガン・ル・フェイ」によって熱湯で茹でられ続けると言う拷問を受けていました。
しかしそれをランスロットが救出したことでカーボネックのエレインはランスロットに恋をします。
しかしランスロットはその恋心を拒みます。
エレインはランスロットを諦めきれずにランスロットが思いを寄せていた
「グィネヴィア王妃」に魔法で化けて子を生してしまうのです。
この子供がガラハッドなのです。ランスロットはエレインのもとを去りガラハッドは修道院に預けられることになります。
その際に幼いガラハッドは魔術師「マーリン」に「ガラハッドは父親であるランスロットを超える騎士になり、
いずれ聖杯を見つける」と予言を受けました。
ガラハッドは成長した後に父親であるランスロットのもとを訪れ、彼から騎士の洗礼を受けます。
そして「アーサー王」から騎士となるべく試練を受けます。
それらの試練を達成した後に座れば死が訪れると言われる円卓の「13番目の席」に座り、見事円卓の騎士となったわけです。
ガラハッドが円卓の騎士となった後、アーサー王は聖杯の探索に様々な騎士を送りますがその全てが失敗に終わります。
そして遂にガラハッドに聖杯探索の任が下ります。
ガラハッドは探索の途中で「パーシヴァル」と「ボールス」という騎士に会い、
旅路を共にしますが道中でパーシヴァルと共に来ていたパーシヴァルの妹が亡くなってしまい、二人と別れます。
その後はランスロットと共に探索を続けますが二人とはしばらくの後に再開することになります。
この聖杯探求の旅の4日目にアリマタヤのヨセフの盾のある僧院にたどり着き、
そこには「バグデマグス」という人物がいました。
このバグデマグスはアリマタヤのヨセフの盾を見ると僧院の人物から呪いの話を聞いた上で
アリマタヤのヨセフの盾を持ち出し、結果謎の騎士に致命傷を与えられ、「これはガラハッドのものである」と言われます。
そしてその言葉通りにガラハッドがアリマタヤのヨセフの盾を持ち出すと呪いの兆候は全く現れず、
アリマタヤのヨセフの盾に認められます。
その後カーボネックにたどり着き、ガラハッドは遂に聖杯を手に入れます。
聖杯を手に入れてから1年後にガラハッドは神々に真に心の清い騎士であると認められ、神々のもとに召されます。
この神々に認められる際にもアリマタヤのヨセフの盾がその証となっていたのです。
聖属性
アリマタヤのヨセフの盾は固有名詞がないせいなのかゲームやアニメにこれ単体で出ていることはないようです。
しかし、この盾をイメージしたであろうデザインの盾はアニメに登場していることがあります。
例えばですが大人気ライトノベル原作のアニメ「ソード・アート・オンライン」に登場する
「ヒースクリフ」というキャラクターは「聖騎士」と呼ばれており、片手剣と盾を武器としています。
その盾が白銀に赤い十字が刻まれた盾であり、アリマタヤのヨセフの盾をモチーフにしているように思えます。