ヒルドルの活躍するヒャズニングの戦いは北欧神話を元にするスカンディナヴィアの伝説であり、
スカンディナヴィアのゴットランド島にある神話を刻んだ絵画碑石に残されています。
また、ヒャズニングの戦いを記した複数の北欧神話の断片がありますがそのどれも詳細が異なっています。
しかしその多くの記述においてヒャズニングの戦いは永久に続く戦いとして描かれています。
ヒルドはその名前に古ノルド語で「戦い」という意味を持ちます。
更にはヒルドは度々ヴァルキュリアの象徴としても描かれることがあり、
そのためヴァルキュリア達自身が戦いの象徴として描かれることもあります。
このようにヴァルキュリアの中でも有名であるヒルドルなのですが、
そんな彼女の持つヒルドルの帆に関してはその限りではないようです。
ヒャズニングの戦いにおいてヒルドルは間違いなく何かしらの活躍をしていますが、
ヒルドルの帆に関してはこの盾になにか特殊な能力や活躍をしたという記述が見られません。
つまり神話上ではヒルドルの帆はあまり目立たない、
もしくはあまり重要な立ち位置を与えられていない武具であるとも取れます。
ただしこのヒャズニングの戦いにおいてヒルドルはどの記述でもとある権能を振るっており、
その権能をもたらしているのが実はヒルドルの帆なのではないかとも言われているのです。
それに関しては次の項にて紹介いたします。
前述したとおり、持ち主のヒルドルがヴァルキュリアの象徴としても描かれることがあるほどに有名なのに対して、
地味な印象の拭えないヒルドルの帆です。
しかし、ヒルドルの登場する物語における共通する描写から、
実はヒルドルの帆こそが物語における重要な立ち位置を担っているのではないかという意見があります。
そもそもヒルドルが活躍するヒャズニングの戦いが永久に続く戦いとなっている原因はヒルドル自身が振るう権能にあります。
それというのがヒルドルには戦場において死者を復活させ続ける権能があるのです。
そしてヒャズニングの戦いが言及されている多くの物語において、
理由は様々なれどヒルドルは戦いにて戦死したものを生き返らせ続けて戦いを続けるわけです。
それ故にヒャズニングの戦いは永遠に続く戦いと言われています。
このヒャズニングの戦いは様々な北欧神話の断片において言及されていますが、
そのいずれも微妙に言及の仕方に差異があります。
しかしながらその多くにおいてヒルドルが死者を蘇生させることで永遠に続く戦いに
発展しているという描写が共通しています。
そしてヴァルキュリア、ここではヒルドルは多くの絵画において盾と槍を持った美しい女性として描かれており、
ヴァルキュリア達は戦場での生者と死者を定めることこそ出来ても死者を蘇生させるような力が
あるという描写はヒルドルを除いてあまり存在しません。
そのことからこの戦場における戦死者を生き返らせているのは、実はヒルドル自身の持つ権能ではなく、
ヒルドルの帆が持つ特殊能力ではないかとしている資料が少なからず存在しています。
この資料を元に考えると、ヒルドルの帆はこのヒャズニングの戦いにおいて
重要な立ち位置にある武具だったのかもしれません。
また、ヒャズニングの戦いは北欧神話由来のスカンディナヴィアの伝説ですが、
このスカンディナヴィアにはヒャズニングの戦いの他に「楯の乙女」という伝承が存在しています。
伝承上で楯という武具を強調して取り上げていることから、ヒルドルの盾であるヒルドルの帆にこそ
特殊な能力があると考えるのも不思議な話ではないでしょう。
また、話が横道に逸れますがこの「楯の乙女」はスカンディナヴィアにおいて
実在したかどうかが激しい議論を生んでもいます。
歴史上ではヴァイキングが活躍した時代にわずかながら武装した女性戦士がいたという記録があり、
実際に楯の乙女が戦っていたという報告がなされたという記録もまた残っています。
更にはこの楯の乙女こそが北欧神話におけるヴァルキュリアの原型になっているとさえ言われています。
無属性や聖属性
このように謎の多い「ヒルドルの帆」ですが、
盾としての性能が原典の中でも不明瞭な部分が多いためにゲームやアニメでも登場が見受けられません。
しかし、持ち主のヒルドルが登場するゲームは発見できましたので、そちらをご紹介します。
そのゲームというのがソニー・コンピュータエンタテインメント発のアクションゲーム「ゴッド・オブ・ウォー」です。
このゲームのボスとしてヒルドルが登場しています。
その他にもディライトワークス発のスマートフォン向けRPG「Fate/Grand Order」でも
ワルキューレのうちの一人として登場しています。
登場ゲーム作品
ゴッド・オブ・ウォー
Fate/Grand Order