四不象は4つの部位がそれぞれ別の4つの生物に似ているために「四不象」もしくは「四不相」と呼ばれ、
名前には「4つに似ているが、それにあらず」という意味を持ってもいます。
4つの似ている部位と似ている生物には様々な説があり、頭は中国の幻獣である麒麟に似ているだとか、
ウマに似ていると言われています。次に体はまた幻獣の一種である龍の体を持っているという説や、
またはロバの胴体を持っているという説もあります。
そして、尾に関しては「たい」という中国の幻獣の一種に似ていると言われていたり、
ジャッカルの尾を持っているという説もあります。
その他にはウシに似た蹄を持っているが違うものだとか、
角があってそれはシカのものに似ているがやはり違うものであるとも言われています。
これらのことから似ているが違う4つのものを持っているということで
「四不象(似ていない)」という名前を持つに至ったのです。
この名前から、中国ではパッと見てなんだかよくわからないものに対して
「四不象」という表現をスラングとして使っています。
さらには近年の中国ではシフゾウと同じく何かに似ているけれどもなにか違う生き物ということでキリンの仲間である
「オカピ」に対して「四不象」という名前を当てているそうです。
小説「封神演義」に登場する霊獣「四不象」には人の言葉を理解し、それを話す能力と空を自由に駆ける能力を持っています。
小説での描写にも、元々の主人である元始天尊をその背に乗せて空を駆ける描写があったり、
主人が太公望に移った後にもその力を生かして太公望の使命である「封神」の助けになったりもしています。
その小説「封神演義」を元にした漫画の「封神演義」では四不象はよりコミカルで表情豊かなキャラクターになっており、
他の登場人物と言葉を交わすシーンが多数存在しています。
実在するシフゾウに関しては、これは偶蹄目シカ科シフゾウ属に属する哺乳類で、大型のシカです。
この属は「シフゾウ」一種のみで属を構成しています。
シフゾウは19世紀末には野生状態の個体は絶滅してしまっていますが、イギリスにて飼育されていた個体群の維持、
繁殖に成功しており、絶滅したというわけではありません。
また、1980年代には中国で野生に戻されましたが、現在の野生動物の保全状態を表す
レッドリスト上では野生絶滅の評価になってしまっています。
現在日本でも動物園にて飼育下にあるシフゾウは見ることが出来ます。
封神演義において主人公・太公望の近くで相棒のような役割を果たしていた四不象ですが、
四不象が登場する大元の「封神演義」では太公望の乗り物であり、
「封神」の儀を行う際の移動手段としての活躍が非常に多かったようです。
そのため、小説の封神演義には四不象が直接活躍をするというよりかは
四不象が運んできた太公望が活躍をするという場面が多いです。
「封神演義」に登場する主人公・太公望は道教の最高神として祀られている人物である「元始天尊」の直弟子で、
その元始天尊に太公望は神を封じる儀式である「封神」の儀をするように命じられます。
その際に元始天尊は自らの騎獣であった四不象を太公望に譲るのです。
その後は太公望の騎獣として活躍します。
この太公望は中国がまだ「周」と呼ばれていた時代に実在した人物である
「呂尚(りょしょう)」という人物がモデルとなっています。
話が少々逸れますが、この呂尚は釣りが趣味であり、その異名が太公望であったことから
日本では釣り師の代名詞として「太公望」という言葉が使われることもあります。
話を戻しまして、この太公望は小説「封神演義」では「姜子牙(きょうしが)」という名前でも呼ばれています。
この太公望は仙人としては年若く仙人としての力も高いわけではありませんでした。
しかし元始天尊の直弟子ということで仙人の世界(仙界)での序列は高かったわけです。
そのため、自身と敵対する仙人や妖怪に度々敗れては命の危機に瀕することもありました。
しかし、仙人の力に劣る反面、軍師や将軍としての能力に優れておりその明晰な頭脳や仲間の助けを得て
どうにか封神の儀を進めていきます。
そして最終的には元始天尊に命じられた封神の儀を成し遂げて、太公望は仙界に戻らずに政治家として生きていく、
というのが封神演義における太公望の活躍です。
この太公望の活躍の裏には四不象の並々ならぬ活躍があったことでしょう。
また、この小説「封神演義」を元にした漫画「封神演義」では四不象が変身して直接戦うといったシーンが存在するので、
より直接的な四不象の活躍を楽しむことが出来ます。
聖属性
このように非常に不思議な生き物として描かれる四不象ですが、
アニメ、ゲームでの出演となるとやはり日本の漫画家である藤崎竜先生の描かれた
「封神演義」での四不象が日本の中では特に有名でしょう。
この四不象は見た目はカバのディフォルメようなマスコット的な見た目をしており、
作中でもコメディリリーフの役割を果たしています。
しかし、いざというときには自ら戦うこともあるなどただのマスコットキャラでは決してありません。
登場ゲーム
封神演義