「シウコアトル」とは中米のメキシコ近郊に伝わる「アステカ神話」に登場する口から火を吐き、
体を刃とする神の如き蛇、または古代アステカにおいて使われた「アトルアトル」という槍投げの器具であるとされています。
シウコアトルには様々な姿が言い伝えられています。
かつてのアステカの首都である「テノチティラトン」から出土した
「カレンダーストーンには2匹の蛇が円を描いて周囲を囲んでいます。
この2匹の蛇がアステカ神話における善神「ケツァルコアトル」とシウコアトルであるとされています。
また、テノチティラトンの北方に存在した都市に建っているピラミッドの基部にも
シウコアトルの彫刻が列をなして彫ってあります。
また、その彫刻の北と南にはとぐろを巻く2匹の蛇が刻まれてもいます。
その他にも蛇体の両端に頭を持つシウコアトルの彫刻が残されてもいます。
シウコアトルはアステカ神話における火の女神であるシウテクトリの象徴、
もしくはシウテクトリが変身した姿であるともいわれ、またはシウテクトリの配偶神であるともされています。
シウコアトルはそれそのものが火の力や乾燥といった人に危害を加える危険な力を象徴してもいます。
また、シウコアトルは独自に意思を持つ武器であるとする文献もあります。
ちなみにシウコアトルはアステカにおいて建造物の装飾に頻出する一般的なモチーフでもありました。
日本における狛犬に似たものだと言えます。
なお、シウコアトルが登場するアステカ神話の発祥地であるメキシコ共和国では
自国の軍隊に正式採用した小銃にシウコアトルという名前を与えるほどにメキシコではシウコアトルというのは
一般的なモチーフでもあります。
このシウコアトルという小銃には側面に蛇の姿が浮き彫りにされています。
シウコアトルが登場する話ではシウコアトルの持ち主であるウィツィロポチトリが自らの母親を守るために
シウコアトルを振るう話が有名でしょう。
これは同時に太陽神ウィツィロポチトリが誕生する話でもあります。
アステカ神話におけるある時、地母神コアトリクエが
「コアテペック山」という山にお参りに行って掃除をしていると世にも美しい羽毛で出来た珠を見つけます。
コアトリクエはその美しい羽毛の珠を気に入ったためこれを懐に収めました。
するとコアトリクエは霊験によってたちまち受胎してしまいます。
これに対してコアトリクエの娘や息子はコアトリクエが不思議な力で受胎したわけではなく、
今は亡き夫を裏切って別の男と子を成したのではないかと疑います。
そしてすっかり母親を疑い切った子どもたちはコアトリクエの殺害を計画し始めます。
その中でもコアトリクエの娘の一人である月の神「コヨルシャウキ」が大勢の手勢を伴って
コアトリクエのいるコアテペック山にコアトリクエを殺害しに向かいます。
それと時を同じくしてコアトリクエはコアテペック山にて受胎した子を出産します。
それが太陽神ウィツィロポチトリなのです。
ウィツィロポチトリは生まれながらにして完全武装を施されていました。
ウィツィロポチトリは頭にハチドリを象った頭飾りをつけ、左足にはハチドリの羽飾りをつけていました。
さらに5つの房がついた盾と槍を持った姿をしています。
その武装の中にシウコアトルもありました。
コヨルシャウキがコアトリクエを殺害しにコアテペック山に攻め込もうとすると
ウィツィロポチトリはコヨルシャウキをシウコアトルを用いて八つ裂きにしてしまいます。
さらにコヨルシャウキが連れてきた手勢やその他の兄弟の大半を殺害してしまいます。
こうしてウィツィロポチトリはシウコアトルを用いて自らの母親を守ることに成功したのです。
また、このコヨルシャウキを八つ裂きにしたシウコアトルはしばしば稲妻と同一視されることもあります。
火属性
まずはGREEの運営するスマートフォン向けRPG「百神~ヒャクカミ~」より「シウコアトル」です。
褐色肌の女性の姿をした神として登場しています。
これはシウコアトルの元になっているシウテクトリが女神で有ることから来ているのでしょうか。
続いてはDELiGHTWORKS発のスマートフォン向けRPG「Fate/Grand Order」より「ケツァル・コアトル」が使用する宝具
「炎、神をも焼き尽くせ(シウ・コアトル)」です。
これはケツァル・コアトルが風を起こして敵を空高く打ち上げ、
炎をまとった状態でケツァル・コアトルが敵を頭から地面に落とす技です。
最後は株式会社ヤマハが販売元のスマートフォン向けRPG「オオカミ姫」に登場する「軍神ウィツィロポチトリ」の必殺技
「シウコアトル」です。ウィツィロポチトリはゲーム中の種族でも神族として設定されており、
シウコアトルは特定のタイプの敵に大ダメージを与える必殺技として実装されています。