玄元混天剣は、中国4大奇書に数えられる「水滸伝」に登場する敵であり妖術師の「包道乙」
という人物が所持している宝剣である架空の武器です。
包道乙は、この玄元混天剣と自身の強力な妖術を使う戦法を得意としています。
強大な妖術使いとして主人公たち梁山泊軍の前に最大最強の敵として立ちふさがります。
包道乙は、弟子の鄭彪の頭上に金甲の神人を出現させ相手を惑わせたり、辺り一面を暗闇にしたり、
敵の周囲に巨漢を出現させ、取り押さえたりと多彩な妖術を使用し戦います。
そんな包道乙の戦法の一つとして、この玄元混天剣を浮かせて飛ばし、百歩先の敵に命中させる技があります。
この玄元混天剣自体の攻撃力と包道乙自身の剣術が相まって、作中では、敵味方問わず一刀のもとにたたき切っています。
梁山泊軍最大の戦い「方臘の乱」において方臘側に付き従い、
弟子である殿帥大尉・鄭彪と百将の夏候成を引き連れ、梁山泊軍の好漢たちを何人も葬りました。
方臘を何度も救った功績とその戦術から「霊応天師」という異名で呼ばれ敬われていました。
ちなみに方臘の乱は実際に中国の江南地方で1120年頃起こった反乱であり、
この乱に付き従った「仇道人」という人物が包道乙のモデルであるとされています。
包道乙は、「水滸伝」第117回に登場する妖術師。
代々金華山に住んでおり、幼少のころに出家した後、邪道の術を学びます。
妖術師としての実力はかなりのものであり、方臘配下である鄭彪や百将の夏候成などを弟子にしています。
方臘国家の殿帥大尉・鄭彪が梁山泊・宋軍の迎撃の令旨を受けたことにより包道乙は推挙され、
方臘の皇居にて謁見します。この場面で包道乙は物語に初登場する。
参内し、方臘と対面した包道乙は、「睦州に出現した宋軍を、天師の道術で迎撃してはくれないだろうか?」と頼まれます。
この頼みを包道乙は快く承諾し、この任を引き受けることになります。
その夜、歓待の宴が開かれ、その後、殿師府にて、弟子である鄭彪と夏候成達とともに包道乙は軍をおこす相談を始めます。
しかし、そこに現れた方臘配下、司天大監・浦文英は、包道乙たちに凶兆の出現を報告する。
包道乙軍の出陣中止、降伏の進言を勧めるが、それを聞いた包道乙は大いに激怒します。
自分の得物である宝剣・玄元混天剣で浦文英を一刀のもとに切り伏せてしまいます。
このことは急ぎで方臘に上奏されますが、何とか事なきを得ることに成功します。
そして、ついに包道乙の軍が睦州に進軍を始めるのでした。
鄭彪を先鋒にし、中軍に包道乙、夏候成に殿軍を任せた布陣を展開し、睦州救援に赴いた包道乙たち、
先鋒の鄭彪が迎撃に来た宋軍の将・王英と扈三娘を妖術で打ち取ることに成功します。さらに進軍し宋軍と交戦します。
ところが、鄭彪は歩兵軍三頭領の猛攻に逆に敗走させられてしまいます。
中軍の包道乙はこれを悟り、自身の妖術で辺りを暗闇にして混乱させ、宋軍を同士討ちさせて撃退しようとします。
しかし、突如として妖術が何者かの手により破られてしまいます。
(おそらく、九天玄女の天書を用いた宋江、公孫勝らにより破られる。)
さらに鄭彪が宋軍の援軍と遭遇してしまい、またも交戦状態になります。
異変を察した包道乙はすぐさま二将に攻められている鄭彪の救援に向かいます。
そこで包道乙は鄭彪と交戦していた武松に玄元混天剣を飛ばして、武松の左腕を薄皮一枚残して斬り、
大量出血により昏倒させます。
一方、鄭彪は歩兵三頭領と交戦するが、再び逃走し、谷川に逃げ込みます。
この時、伏せていた味方の兵たちが追尾してきた歩兵頭領の項充と李袞を打ち取り、その日は両軍撤退します。
この戦いで夏侯成は魯智深とともに姿を消してしまいましたが鄭彪が奮闘し結果的に4将打ち取る武功をあげ、
包道乙は武松を戦闘不能に追い込み、南軍全体で交戦した宋軍の1割を討ち果たす戦績をあげました。
その日、戦いを終え睦州城に入城した包道乙たちは右丞相・祖思遠たちと今後のことを話し合い、
鄭彪が牙将十数名とともに城外で宋軍を迎え撃ち、
包道乙がそれを城壁の上で妖術を用いて援護する戦法をとることになります。
そして、翌日、宋軍と鄭彪、包道乙の軍は城下にて相対し戦いが始まります。
鄭彪は宋軍から単身、馬を進めてきた好漢・関勝と一騎打ちを繰り広げることになります。
打ち合うこと数合、関勝の卓越した刀術の腕前に徐々に追い詰められていく鄭彪。
弟子の窮地と見た包道乙、鄭彪に自身の強力な妖術を施します。
口訣を唱えてフッと鄭彪に向けて息を吹き付けると、鄭彪の頭上に一筋の黒気が巻き上がり、
それとともに降魔の宝杵を持った金甲をまとった神人が降臨し、関勝に打ちかかりました。
それを目の当たりにした宋軍の樊瑞も負けじと法術を行います。さらに宋江も天書に記された風をかえし、
暗闇を破る密呪の秘訣を唱えました。すると、関勝の頭上に白雲が巻き起こり、
その中から黒龍に乗った天将が現れました。関勝の頭上の天将は、鄭彪の頭上の金甲の神人と打ち合いを始めます。
そして鄭彪と関勝も引き続き打ち合いを続けていきました。
術と術、将と将、激しい打ち合いが続き、関勝の頭上の天将が神人を斬り打ち破りました。
その瞬間、鄭彪もまた関勝に斬られ倒されてしまいました。
城上に座り術を唱えていた包道乙は、自身の妖術の消滅と弟子の死を目の当たりにし、唖然とし、戦慄してしまいます。
そして、自身の死を予感し、包道乙が立ち上がったその瞬間、
宋軍の陣中から凌振が放った轟天砲の一弾が包道乙に的中します。
大砲の弾をもろに受けた包道乙は木端微塵に爆死し、その生涯を終えました。
おそらく、この時に愛刀・玄元混天剣も一緒に焼失した模様です。
戦いにおいては卓越した強力な妖術と精巧な剣術とで屈強な宋軍を弟子たちとともに追い詰めていきました。
梁山泊たち好漢の最大の戦い「方臘の乱」において方臘軍の切り札的ポジションを担い、
数々の好漢たちを葬った包道乙と玄元混天剣は登場回数は少ないものの水滸伝において、
印象に残る敵キャラクターであると言えますね。
無属性
玄元混天剣、包道乙のアニメ作品への登場は確認できませんでした。
光栄から発売された歴史シミュレーションゲーム「水滸伝・天命の誓い」、
続編の「水滸伝・天導一〇八星」に包道乙が登場する。
方臘軍に所属し、その能力は、体力83、腕力47、技量83、知力81、忠義46、仁愛15、勇気30
という小説内の包道乙を連想させる能力値です。 その他ゲームの登場は確認できませんでした。