アイギスとはそもそもギリシア神話に登場する女神アーテナー、
もしくは主神ゼウスが保有する山羊皮でできた胸当て、肩当て、盾とされる防具のことです。
または女神アーテナーがメドゥーサを討伐させるために英雄ペルセウスに持たせた鏡のような加工の為された青銅製の大盾だと
も言われています。
このアイギスは主神ゼウスが操る雷すら通さず、身につければ敵に恐怖を植え付け、
味方には士気を増大させる効果をもたらす防具であるとしています。
今現在ではアイギスといえば大きな丸盾をイメージする方がほとんどであると思われます。
しかしそもそもアイギスは盾を意味するものではなく山羊皮が使われた防具全般を指すものだったようです。
そのため叙事詩イーリアスではペルセウスが持っていた青銅製の丸盾がアイギスであるとは全く表記がなく、
あくまでアーテナーがペルセウスに渡した青銅製の鏡のような盾である、という表現しかありません。
また、イーリアスではアーテナーがアイギスを身に着けているという表現はあるものの、
「アイギス持つゼウス」という風に本来はゼウスの持ち物であるという面が強く表現されています。
ですのでアイギスが「アイギスの盾」として、あくまで盾と認識されているものは実はアーテナーがペルセウスに授けた青銅の
盾のことを指している可能性が非常に高く、本当の「アイギス」ではないものがアイギスとして認識されているわけです。
またホメーロスの書いた叙事詩「オデュッセイアー」でも「アテナ(アーテナー)の持つアイギスからは純金で編まれた百本の
房が下がっている」というアイギスの見た目に関する描写があることからやはりアイギスは本来は盾ではないのでしょう。
先に述べた通り、アイギスは本来は盾ではない可能性が非常に高い防具です。
ではなぜアイギスは「アイギスの盾」として世間一般に広く伝わってしまったのでしょうか。
そもそも先に述べている通りアイギスとは山羊皮で作成された防具のことを指しています。
ですので紀元前1世紀のローマの詩人ガイウス・ユリウス・ヒュギーヌスの著した「天文詩」にも「アイギスはゼウスの養母ア
マルテイアの飼っていた山羊の皮で作られた」という記述があります。
また、ゼウスは巨人族との戦いにおいてゴルゴンの頭と山羊皮の防具で身を守らなくてはならないという予言を受けたともあり
ます。
このことからもアイギスは確実に盾である、ということはないことが読み取れます。
イーリアスの中にはアイギスを盾である、とする文章がないこともないのですが、
それに関しても「肩当てか上衣、もしくは円形の盾である」としています。
そしてオデュッセイアーの記述と照らし合わせるとますます盾ではない可能性が高まります。
このアイギスには英雄ペルセウスがアーテナーから授かった盾を持ち、メドゥーサを打ち倒した後にメドゥーサの頭がつけられ
ます。
そしてイーリアスの中には実はこのメドゥーサの頭をあつらえた盾がアイギス以外に出てくるのです。
それが英雄アガメムノンの持つ大盾で、ギリシア軍風の円形の盾の中央にメドゥーサの頭を模した装飾が施された盾なのです。
しかしこの盾はアーテナーの持つアイギスともペルセウスの持つアーテナーから授かった盾とも無関係のものです。
この3種類のイーリアス内で起きた話が現在の「メドゥーサの頭が中央に据えられた鏡のような性質を持つ円形の大盾」を「ア
イギスの盾」と呼ぶようになった元ではないかと言われています。
しかしイーリアス内で述べられたようにアイギスが本当に盾の形をしていて、それを実際にアーテナーがペルセウスに渡した可
能性もないわけではないので実際のところはわかりません。
闇属性
ではこのアイギスはゲームやアニメでどのような形で登場しているのでしょうか。
実際に作品を数個上げながらご紹介していきます。
まずは株式会社アトラス発のRPG「ペルソナ3」より対シャドウ制圧兵器の「アイギス」です。
見た目は10代半ばくらいの少女ですがその実はなんとロボットで、人類の敵たる「シャドウ」と戦うために作られた兵器です。
ペルソナシリーズには「ペルソナ」という特殊能力を持った人が存在しており、アイギスのペルソナは「アテナ」といいます。
次はスクエアエニックス発の大人気RPGシリーズ「ファイナルファンタジー」から「イージスの盾」です。
イージスの盾はファイナルファンタジーシリーズでも最強クラスの盾と位置づけられていることが多く、
特殊能力も原典に即した石化無効と魔法防御が備わっていることが多いです。
最後は株式会社アトラスとヴァニラウェア有限会社のタッグか制作するアドベンチャーゲーム「十三機兵防衛圏」より防御シス
テム「イージス」です。
このイージスはゲーム内に登場するシステム用語で、イージスを発動すると発動地点から直径2km内に一切敵が近寄れなくなる
完全防衛圏という結界のようなものを作り出します。
登場ゲーム作品
ファイナルファンタジーシリーズ