小説・西遊記に登場する沙悟浄が所有していた杖状の長物武器です。
先に半月状の刃がついており、後ろにスコップ状の鈍器がついています。
さらに如意宝珠という宝珠が至る所にちりばめられています。
この如意宝珠はどんな願いも叶える宝珠だとされており、この武器の格式の高さ、威厳を表すものだそうです。
強力な魔物や妖怪を退治する力が備わっているうえに、武器の長さや太さも意のままに操ることが出来たとされています。
それで敵の鎧に引っ掛け、自分の方に引き寄せ戦ったり、先についている刃で敵を裂くことも、スコップ上の鈍器での殴打も可
能である万能な武器のようです。
降魔の杖
月の裏側に生えていると言われている桂の木(月桂樹)を使用し、芯には金の筋、沢山の如意宝珠が施されています。
本来は農具として使うスコップをモデルに作られた武器だったようです。
また沙悟浄はカッパのイメージが強いですが、中国では僧のような姿で描かれています。
これは、水の妖怪が転じて、日本になじみ深いカッパが用いられたのが原因と言われています。
この僧の姿から墓穴を掘るスコップという考え方もされています。
中国では月牙鏟(げつがざん)とも言われているようで(正しくは違う武器らしいのですが、中国では、半月状の刃がついた長
物の武器をこう呼ぶらしい。)降妖宝杖と同一視されています。
武器の重さが約5040斤(3トン)あり、常人では扱うどころか持つことすらできない武器になっています。
妖怪である沙悟浄の腕力があってこそ扱うことが出来る代物のようです。
強力な退魔の力を秘めており、魔物、妖怪、悪霊退治などにうってつけの武器と言えるでしょう。
誰もが一度は見たことがある西遊記の沙悟浄といえばこの武器。と言われるくらい有名な武器ですね。
降妖宝杖は、沙悟浄がまだ天界の役人・捲簾大将として天帝に使えていた頃に天帝から授かったものです。
元々、沙悟浄は妖怪ではなく、沙悟浄という名前でもありませんでした。
天界の神仙であり、捲簾大将という役職についていたのです。
捲簾大将とは、天帝の側近であり、謁見の際、天帝を守護する役職でした。
要は天帝のボディーガードですね。
沙悟浄の働きを称え、天帝が月の裏に生えている桂の木を元に、時の名工に作らせ、送ったのが降妖宝杖でした。
天帝からの贈り物に非常に感激した沙悟浄は、この降妖宝杖を大事にし、自らの誇りとしていました。
しかし、蟠桃会(最高位である女仙の生誕祭)にて、天帝の宝である瑠璃の器を割ってしまい、その罪により天界を追放されて
しまうのです。
むち打ち800回、さらに7日に一度、鋭い剣でわき腹を刺されるという罰を受け続け、飢えと寒さ、その苦行に耐え兼ね、ついに
人を喰らう妖怪になってしまい、天竺に経典を取りに行く取経者たちを襲って、9人もの取経者を殺し、
その頭蓋を首飾りにしていました。
妖怪になった後も沙悟浄は降妖宝杖を持ち続け、自らの獲物として使用していました。
ある日、沙悟浄の前に観音菩薩の一行が現れます。
いつものように襲い掛かる沙悟浄ですが、観音菩薩一行であることに気づきました。
沙悟浄は、許しを請い、9人の取経者を殺したことを告白します。
菩薩は次に来る取経者の弟子となるよう告げ、沙悟浄という戒名を授けます。
ここで初めて沙悟浄という名前になったのですね。
そして、次にやってきた取経者が三蔵法師たちだったのです。
観音菩薩との約束を忘れ、沙悟浄は三蔵法師たちに襲い掛かります。
猪八戒と闘うこととなった沙悟浄は降妖宝杖を構えました。
降妖宝杖を見た猪八戒は「なんだ?その葬式で使う杖は!」と挑発します。
負けじと沙悟浄も「これは名誉ある杖だぞ!貴様のその錆びた獲物では農作業もできまい!」と猪八戒の武器・釘鈀(ていは)
に対して挑発したのです。
妖怪になっても自分の武器に誇りを持っていたようですね。
にらみ合う2人はついに闘い始めます。30ほど打ち合い闘いましたが実力は拮抗しており、勝負はつきませんでした。
結局、孫悟空が観音菩薩を呼び出し、闘いは終わりました。
そして、沙悟浄は三蔵法師の弟子になり、天竺を目指し三蔵法師一行と旅に出ることになります。
その旅の間、沙悟浄は、降妖宝杖を大切に愛用し続けました。
聖属性水属性
日本の大人気アニメ「最遊記」に主要メンバーとして沙悟浄が登場しています。
西遊記をモチーフにタバコやクレジットカードなど現代のものが登場する独特の世界観が人気のアニメ。
人間と妖怪のハーフ。女ったらしでヘビースモーカーの色男として登場するキャラクター
この沙悟浄が愛用している武器が降妖宝杖。
半月状の刃がついた錫杖として登場。
無限に伸びる鎖で刃を飛ばすことが可能、遠距離武器としても活用されます。
作中では沙悟浄がこの降妖宝杖と出会った話も存在します。
三蔵法師から蔵の掃除を頼まれた沙悟浄と孫悟空。
そこにあったある壺を2人は割ってしまいます。そこにあったのが降妖宝杖と如意棒でした。
2つの武器は死ぬまで宿主のもとを離れないという性質を持っており、結果的に沙悟浄と孫悟空は愛用の武器である降妖宝杖と
如意棒を手に入れます。
日本アニメ「デジモン」にも沙悟浄をモデルにしたデジモン・サゴモンが登場しています。
サゴモンが使う武器が降妖宝杖。
完全体デジモンでデジタルワールドの天界から追放され、カッパのような姿になったデジモン。
と原作の西遊記を踏まえたキャラ設定です。
普段は軽口をたたく陽気な性格ですが、腰に巻いたドクロに触ろうとすると激昂する。
このドクロは一種の封印でドクロが一つでも欠けると恐ろしいデジモンに変貌してしまうからとのこと。
自分が何者なのかを探求しており、いずれ、あるデジモンに出会い共に旅に出ることになるとか・・
戦闘では水の術と降妖宝杖を使い戦う。
必殺技は、降妖宝杖を軽々と回転させ水の竜巻を起こす「降妖宝杖・渦紋の陣」と杖を地面にたたきつけ大地を砕き激流を放つ
「降妖宝杖・滝の陣」
さらに接近戦では半月状の刃で敵を切り裂く「月牙斬」を使用します。
さらに数々のスマホゲームなどで沙悟浄および降妖宝杖は登場しています。 パズドラ、モンスト、オセロニア、三国志オンライン、グリムノーツ、ドラゴンマークトフォーデス、ブレイブリーデフォルト、ダンジョントラベラーズ